日米両国は28日の首脳会談で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉進展を強調した。アジア太平洋地域の通商ルールの構築を目指し、12カ国が参加する全体交渉の大筋合意に向け、ムードを高める演出をしてみせた。だが実際には、越えなければならないハードルが依然多く残されている。
大きな推進力
「人やモノや資本がしっかりとしたルールの下で自由に行き交うことで、参加する国々は間違いなく豊かになっていく」。安倍晋三首相はホワイトハウスでの首脳会談後の記者会見で、TPPの意義を訴えた。オバマ米大統領も「進歩的な貿易協定になる」と指摘し、交渉妥結への意欲を表明した。
日米両国は首脳会談で交渉前進を打ち出すため、ぎりぎりの調整を続けた。決着できる段階になるまでは開かないとみられていた甘利明(あまり・あきら)TPP担当相とフロマン米通商代表による閣僚協議を19~21日に実施し、その後も首脳会談の直前まで事務レベルで議論を継続した。