中国が東シナ海に設定したのは防衛識別圏ではない。限りなく領空に近い「管轄空域」だ。正当な防衛識別圏とは、領空に近付く国籍不明機の敵味方を峻別すべく、領空の外側に設定したノリシロ。国ごとに設定できるが、管轄権は認められていない。
公海上では、識別圏内であろうと外国機に制限など課せられぬ。ところが中国は▽圏内で飛行する航空機は計画を提出する義務を負う▽圏内に在る航空機は指令に従わなければならない▽従わぬ場合、緊急措置を講ずる-と公告した。
中国は何度も否定してきたが、南シナ海でも管轄空域を設定しようとウズウズしている。空域に実効性をもたらそうと、岩礁7カ所を埋め立て軍事基地を整備しつつ、もっともらしい設定の理屈付け時機を待っている。南シナ海も担任する米海軍第7艦隊司令官がロイター通信に示した認識(1月)を受けた反応を見ても明らかだ。
「自衛隊が南シナ海で哨戒活動を行うことは理にかなう。南シナ海では中国の漁船、(準軍隊の)巡視船、海軍艦が近隣諸国を圧倒している」(司令官)
2日後、共産党機関紙・環球時報は早速社説で噛み付いた。