中国人民解放軍海軍では、初の航空母艦就役に続き国産空母の進水が観測されている。ただ中国海軍は数年前まで、ソマリア沖の海賊を前に腰を引いた「実力」の主。当面、中国海軍空母打撃群の「戦略目標」は東・南シナ海で操業する非中国漁船への弱い者イジメとなろう。しかし実力が伴わなくとも、日本を含め近隣諸国には深刻な脅威となる。空母の威を借りる中国軍が好戦性を一層強め→戦端が開かれる確率が高まっても、周辺国は戦局激化を恐れ「恭順の意を示す」可能性があるためだ。複数個の空母打撃群を完成させれば尚のこと、将来の度し難い高圧的行動が懸念される。日米同盟の軍事力底上げは不可避だ。同時に腐敗の深化で、実際の戦力や錬度がどの程度なのか正確に見極めたい。日清戦争(1894~95年)時のごとく、軍費遣い込みや兵器横流しで砲弾の火薬が泥にすり替っていれば僥倖だ。習近平国家主席(61)は党総書記就任直後の2012年「中華民族の偉大な復興の実現が近代以降の中華民族の最も偉大な夢」と語ったが、経済成長が鈍化してもカネに糸目を付けず構築を謀るバブル艦隊が、泡沫(うたかた)の夢に終わる慶事こそ近隣諸国の夢である。