貧困や災害対象に
これに呼応したのが米国だった。オバマ政権は今回の首相訪米を国賓級として迎え、リンカーン記念堂を首相とともに散策する形で個人的な関係を内外に示す演出をしてみせた。米議会が日本の首相として初めて上下両院合同会議で演説する機会を与えたのも、米国内に広く根付く韓国系住民の反発を承知のうえだ。
これは首相がアジア太平洋地域の平和と安定に米国とともに積極的な役割を担おうとすることと決して無関係ではない。相対的な国力、軍事力の低下が予想される米国にとって、日本の役割に頼らざるを得なくなっている現状もある。
首相はさらに先を見据えている。先の学生との対話で「日米同盟はグローバルイシュー(地球規模の課題)との戦いに、その価値を見いだすときが来た」と明言した。
日本が得意とする援助分野である貧困や災害といった普遍的な課題を日米同盟の対象に取り入れ、日本がより積極的に国際貢献を果たしていく首相の決意といえる。(ワシントン 峯匡孝/SANKEI EXPRESS)