対中脅威隠さず
「中国の南シナ海や東シナ海の振る舞いに、日本を含めアジアの国が懸念を持つのも事実だ。軍事費の拡大もそうだ」
首相は27日午前(日本時間27日夜)、米東部のハーバード大学で、学生たちを前にアジアが抱える対中脅威を隠さなかった。ハーバード大で対話の機会を得たのも、将来世界にちらばって政財官界で有力な立場を占めるトップエリートに、日本の立場を説明するだけでなく、大幅な軍拡を進める中国の現実に目を向けるよう促したかったようだ。
首相は政権復帰から2年4カ月間で、国家安全保障戦略(NSS)の策定、国家安全保障会議(NSC)の設置、特定秘密保護法の制定-と次々に安全保障上必要な法整備に取り組んだ。昨年7月には集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の見直しにも踏み切った。いずれも国民の生命と財産を守るための措置だが、歪曲(わいきょく)された批判もあって一時的にせよ内閣支持率も下落した。