【京都うまいものめぐり】
観光客でにぎわう八坂神社(京都市東山区)の南にある京懐石の「水円(すいえん)」。敷地内には清水・音羽の滝の流れをくむという井戸があり、そこから湧き出る名水で引くだしを生かした料理を供している。オープンして3年目の新しい店だが、上品で繊細な料理の数々は多くの客を魅了し、その実力を世に知らしめている。
名水で引くうま味
地下100メートルから湧き出る井戸の水を1口。「おいしい!」。思わず目が丸くなった。
「この水がだしのうま味を存分に引き出してくれます」と、「水円」料理長の藤井孝之輔さんが説明する。利尻昆布と枕崎産の本枯節(ほんかれぶし)で引いた一番だしの「ハマグリのお吸い物」をいただく。上品な味わいが五臓六腑に染みわたり、「あぁ、日本人でよかった」とつくづく思う。
ぷりぷりのハマグリとハマグリしんじょの吸い物は黒こしょうがふられており、ピリリとしたアクセントがまたいい。