【京都うまいものめぐり】
買い物客でにぎわう京の台所、錦市場や大丸、高島屋などの至近に立地する京料理の館、「花咲 錦店」。玄関に誘う神秘的なトンネルをくぐると、そこは異次元のグルメの世界。生麩(なまふ)や湯豆腐、一風変わったすしでもてなされる会席料理は、訪れる旅人に京都テイストを堪能させてくれるはず。冬の庭にはサザンカの赤い花も咲き、心安らぐひとときを演出してくれる。
つい通り過ぎてしまいそうな「花咲」の看板を目印に、玄関への導入部に足を踏み入れると、そこはまるでトンネルになった真っ暗な小道。数歩歩いて玄関の扉を開くと周辺のにぎわいが嘘のように静かな和食空間が広がっている。
もっちり、生麩の田楽
「湯豆腐会席」のトップバッターは生麩の田楽。2種類ありゴマ麩には白みそ、ヨモギ麩には赤みそが塗られケシの実がふられている。串を持って一気に口の中に入れるともっちりした弾力にみその味が絡みつく。
ほかにはワサビを添えていただく生湯葉や、壬生菜(みぶな)と干し貝柱、エノキのおひたしなどが“脇役”を務める。おひたしは「うまみが引き立つ干し貝柱を戻してエノキなどと炊く」(手嶋豊秀料理長)というだけに、貝柱のおいしいエキスが凝縮されている。