とろけそうな湯豆腐
おつくりは鯛とヨコワが皿に盛られる。ヨコワとはマグロの幼魚で脂が乗った鯛もヨコワもちょうど食べ頃。生麩のおつくりも一緒に提供され、ワサビを多めに溶いたしょうゆにつけて口に含むとツンと鼻をつく刺激が心地よい。雪の結晶の形に切り取られた大根と金時ニンジンも添えられ、見た目も楽しめる。
次に、高さ約15センチの木箱が登場。これぞ一人用の湯豆腐セットだ。燃料に火をつけるとぐつぐつと音を立てて煮え始め、沸き立つ湯気が食欲をそそる。木製の蓋を取るとステンレスの鍋の中に絹ごし豆腐が沈む。一緒に熱せられている壺に入った出汁(だし)を小鉢に移し、すくい取った豆腐を出汁に浸して味わうと、とろけそうに軟らかい。
出汁はカツオをベースにしょうゆとみりんを調合したというだけに、初めは薬味を入れずに出汁だけでも風味は満点。その次に薬味のゴマやショウガを添えて味わうと、3通りの味の変化が楽しめる。柚子の風味が香る豆腐もまた格別の味わいで、「一人前で1丁弱の分量がある」(手嶋料理長)そうだ。