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【日本遊行-美の逍遥】其の十三(高台寺・京都市) 心に染みる 桃山文化の粋 (4/5ページ)

2014.10.17 16:00

臥龍池にかかる臥龍廊(がりゅうろう)。水面に映る月、秋の紅葉はいつにも増して、高台寺の魅力を伝えてくれる=2013年10月29日、京都市東山区・高台寺(井浦新さん撮影)

臥龍池にかかる臥龍廊(がりゅうろう)。水面に映る月、秋の紅葉はいつにも増して、高台寺の魅力を伝えてくれる=2013年10月29日、京都市東山区・高台寺(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 月の通り道が意識された竹藪。月明かりに照らされた緑色の幹が、しっとり清艶な姿に見える=2014年5月13日、京都市東山区・高台寺(井浦新さん撮影)
  • 臥龍池をまたぎ、開山堂と霊屋を結ぶ臥龍廊。曲線が際立つ目のさめるような形=2013年7月6日、京都市東山区(井浦新さん撮影)
  • 茶室、傘亭の天井を見上げたところ。唐傘を開いたように見えることからこの名がついた。正式には安閑窟と呼ばれる=2013年7月6日、京都市東山区・高台寺(井浦新さん撮影)
  • 京都市東山区・高台寺
  • 俳優・クリエイター、井浦新(いうら・あらた)さん(本人提供)

 中に入ると、竹と丸木が放射状に組まれた構造が面白く、竪穴式住居みたいでホッとする。茶室の緊張感はなく、解放感や温かさに包まれる。一畳の上段があり、後藤典生住職のお話によれば、そこに秀吉が座っていたそうだ。金襴豪華で派手好きなイメージのある秀吉が、一方でこのように素朴で質素な場所を楽しんでいたかと思うと、思わず笑みがこぼれる。

 もう一つ、土間廊下でつながった時雨亭(しぐれてい)へ。茅葺屋根の入母屋造(いりもやづくり)、これまた珍しい2階建ての茶室である。下が待合になっており、三方の窓が開閉して眺めがよい。どちらも一般的な茶室とは赴きが異なり、その斬新さが茶室の概念を覆してくれる。

 ねねは芸術文化を愛し、敵味方を問わず多くの武将たちに慕われた。お忍びの訪問も後を絶たず、武将たちはねねに頭が上がらなかったそうだ。

 歴史の奧に広がる、桃山時代の成熟した美意識。秀吉やねね、利休や遠州を含めた偉人たちの息遣いが、400年の時を越えて鮮烈に伝わる貴重な場所だ。(写真・文:俳優・クリエイター 井浦新/SANKEI EXPRESS

ガイド:高台寺秋の夜間特別拝観におけるライトアップ「悠久-光と陰-」

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