小堀遠州(こぼりえんしゅう)作の「鶴亀の庭」が広がり、秀吉好みの大降りの石が大胆に設置されている。遊び心に満ちた意匠(いしょう)の隅々に、自然を愛でる工夫が見てとれる。
竹林にも、月の通り道が意識されていて驚いた。同時に、風が吹き抜けていく感触を肌で感じ取ることもできる。春先にみなぎる生命力、夏は暑さをしのぎ、秋は葉が霧雨のように降り、冬は寒空に竹色が際立つ。どの季節にも楽しみが絶えることがない。
方丈の白砂の庭は「波心庭(はしんてい)」と呼ばれ、波紋が共鳴しあう。そこに枝垂桜(しだれざくら)が2本。少ないからこそ際立つ美しさ。威厳とは異なる、女性的な静かさ、やさしさにあふれている。