【京都うまいものめぐり】
四季折々の風情を醸す約1200坪(4000平方メートル)の日本庭園を有し、“芸術品”の名にふさわしい京懐石料理の品々が味わえる「桜鶴苑」(おうかくえん)。食欲の秋には見事な紅葉を愛でながら、季節感満載のコース料理につい箸も進む。観光シーズンは行楽客でにぎわう南禅寺の西に位置するが、ひっそりと佇む玄関をくぐると静寂と美食の世界に誘ってくれる。
自慢の庭園は、近代日本庭園の先駆者とされる庭師、七代目小川治兵衛(1860~1933年)が手がけたとされる東山の借景を生かした純和風庭園。モミジなどの植栽が四季の移ろいを感じさせてくれる。
柿、掘りたて、見立て一工夫
最初に運ばれる先附(さきづけ)は「柿胡桃和え」。赤く色づいた柿の葉の上に柿の実をくり抜いた器が載せられ、中に甘酢に漬けた短冊状の柿とクルミが混在。てっぺんにはさりげなくキャビアと金粉が添えられ、食欲をそそる。
碗物は土瓶蒸し。手作りの土瓶の蓋を開けると、マツタケとハモ、クリ、三ツ葉がハモの骨のエキスをとったコクのあるカツオだしに沈む。