【京都うまいものめぐり】
京料理をベースにし、和食の技法と伝統にとらわれない「くずし割烹」。その“旗手”とされる枝國栄一さん(40)が「2人で行って、食べて飲んでも1万円以内で楽しめる」をコンセプトに開いた店が「枝魯枝魯(ぎろぎろ)」。意外な食材の組み合わせが驚きと感動を呼び、一度訪れればファンになること請け合いだ。
五条通りを高瀬川沿いにすこし北上する。川沿いに目をやると大きな桜の木が等間隔で植えられている。春は満開に咲き誇り、いかにも京都らしい風情を醸し出すそんなロケーションに「枝魯枝魯」は店を構える。
「桃の池」に沈むしめ鯖
早速、自慢のメニューをいただいた。まずは黄色い高坏(たかつき)のような器で登場する先付は「桃のすり流しとしめ鯖(さば)」。
ミキサーにかけた桃ジュースを酢と薄口しょうゆで味付けし、その“桃の池”に厚さ5ミリの短冊状のしめ鯖が沈んでいるという意表を突くメニュー。「鯖は果実と相性がいい」(枝國さん)という通りさっぱりとした食後感だ。