実は美術でも似たようなことが起きている。純粋美術や本画などと呼ばれ、画壇や美術評論の対象となってきた美術は年々、おのれを守ってきた「聖域」でやせ細り、逆にSFと同じくアニメやマンガの影響を受けた作品が幅を利かせるようになってきたのだ。この点でもSFは文学と美術を統合する可能性を宿している。本展でその萌芽(ほうが)を確かに見た気がした。()
■さわらぎ・のい 1962年、埼玉県秩父市生まれ。同志社大学を経て美術批評家。著書に「シミュレーショニズム」(ちくま学芸文庫)、「日本・現代・美術」(新潮社)、「反アート入門」(幻冬舎)ほか多数。現在、多摩美術大学教授。
【ガイド】
■「日本SF展・SFの国」 2014年9月28日まで、世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1の10の10)。午前10時~午後6時。月曜休館(ただし9月15日は開館、9月16日は休館)。一般800円。(電)03・5374・9111。