【アートクルーズ】
「しょうぶ学園」(鹿児島市)と「アトリエ・エレマン・プレザン」(三重県志摩市、東京都世田谷区)で制作された絵画や工芸品を展示する「楽園としての芸術」展が、東京都美術館(台東区上野公園)で開かれている。ダウン症などの障害を持つ作り手たちの屈折のない、平和な表現は、アール・イマキュレ(無垢の芸術)と呼ばれている。世界的に障害者のアート作品が市場で脚光を浴びる中、彼らの作品をどんな基準で評価するのか、彼らにとってどんな創作環境がベストなのか、ということを考えずにはいられない。
展示作品98点のうち、いくつかを紹介しよう。
無垢の衝動
しょうぶ学園に所属する濱田幹雄さんの「無題」は、縦1メートルを超える大作。黒地に緑、黄色、赤(茶)の格子がびっしりと描き込まれている。強い色彩は、南国特有の輝きだ。さんさんと輝く太陽の下で、入り組んでいる畑や林、地面のようにも見えてくる。