【アートクルーズ】
印象派の巨匠、クロード・モネは自宅の庭を生きたキャンバスとして造成、その庭の池に浮かぶ睡蓮を描いた連作「睡蓮」は誰もが一度は目にしたことがある絵といえるだろう。多くの名作を生んだフランス北部ジベルニーにある「モネの庭」を再現した高知県北川村の「北川村モネの庭マルモッタン」は、ジベルニー以外で唯一、「モネの庭」を名乗ることを許されている場所だ。
北川村はユズの産地として知られる人口約1400人の小さな村。モネとは縁もゆかりもなかったこの村にモネの庭ができたのは、バブル崩壊で村がユズワインのワイナリー誘致に挫折したことがきっかけだ。跡地利用候補の一つにすぎなかったモネの庭だが、当時、村役場で財政担当兼新規事業プロジェクト主任だった副村長の上村(かみむら)誠さん(52)がフランスに飛び、モネの庭の管理責任者、ジルベール・バエ氏から協力の承諾を得られたことで、実現した。
上村さんは「最初は門前払いで、『他の庭を紹介しましょう』とも言われました」と振り返る。