このとき、クジラを観光資源にしているセイシェルとクジラを食料とする日本との話し合いは、水産学校出身でクジラの種類と特性を熟知しかつ政治的配慮もできる鈴木首相の力もあり、かみ合った。その結果、セイシェルは捕鯨即時禁止を捕獲制限に変更した。以来、両国間には資源保護と利用についての相互理解システムができた。
かつて米国の外交官で学者のJ・ケナンが『アメリカ外交50年』(1951年発刊)で言ったように、強いものは道徳的モデルとならなければならない。またメディアも国民も、政府のそうした姿勢を後押ししなければならない。
そうした点でこのほど、「ネパール日本子ども図書館」館長、サパナ・シャルマさん(45)から良い知らせが届いた。カトマンズの日本大使館員の家族がボランティアで手伝いを申し出てくれたというのだ。この図書館は、土地の購入と建物建設の初期費用をNTT労組に所属する「情報労連近畿」が負担し、その後の運営・維持も組合員とその家族の善意で続き、ネパール唯一の子ども図書館として大きな役割を果たしている。