2016.2.28 17:12
下請けいじめの封建的な取引こそ問題
日本で、価格の決定権を持つのは、大手メーカーと大手小売業だと思うが、いかがだろうか? 大手メーカーは下請けを持ち、その下請けはさらに孫請けを持つ。だから「孫請け」の中小企業は、数量も価格も握られてしまい、経営状況を改善することなど、できっこない。
中小企業庁によれば、中小企業の会社数は約150.8万社で、全会社数に占める割合は99.2%だ。ほとんどがアベノミクスなど関係ない、ということになるのだ。
ある孫請けの中小企業(自動車関係)の経営者はぼやく。
「得意先は決算書の提出を当然のように求めてくるが、なぜ、出さないといけないのか? それに、得意先の調達担当者は『役員報酬が高い』とか『交際費が多い』とか、果ては『賞与を出し過ぎ』とか、口を出してくるが、なぜ、そこまで言われなければいけないのか?」
このような封建的とも言える取引実態にメスを入れない限り、中小企業の従業員の年収が上がることはない。下請法の改正が必要だと、筆者は考える。
(社会保険労務士 北見昌朗=文)(PRESIDENT Online)