刑事たちにとって定番のカツ丼はまた、留置所や拘置所の食事と比べれば豪勢だし、少し値が張るとはいえ、刑事の懐が痛むほどではない。だから、気前よく被告人におごることができる。
フィクションの世界では泣き落としの道具として活躍するカツ丼だが、現実には罪を認め、贖罪の旅のはなむけとして供されるのはそういうわけだ。
「連れてこられて、『カツ丼食べられますか』という人はいまだにいるようですが、取り調べというのはギリギリのやり取りです。食べ物でつろうなんて考えではだめ。それを警察官が心している限り、取調室でカツ丼が出てくることは絶対にありませんよ」
(唐仁原俊博=文)(PRESIDENT Online)