取り調べ中にカツ丼をおごることはない
「すいません、やったのは俺です」
カツ丼を噛みしめるように食べていた容疑者が、涙ながらに自白を始める。語られる容疑者の生い立ち。それを聞いていた刑事たちもつられて涙ぐむ。固く閉ざされていた容疑者の心を開いたのは、刑事たちの人情と、温かな一杯のカツ丼だった……。
刑事ドラマや映画を通じて、取調室といえばカツ丼というイメージが日本人の中に定着している。しかし「カツ丼で自供を迫ることは今も昔もあり得ません」。こう話すのは、神奈川県警の元刑事で、現在は犯罪ジャーナリストとして活躍する小川泰平氏。ということは、警察が容疑者にカツ丼を食べさせるというのは真っ赤なうそということか。
「うそというよりも、正確ではない。そもそも取り調べ中にカツ丼をおごれば、その刑事は首が飛びます」