ささいな出来事にすぎないが、労務管理の難しさを考えさせられる深いエピソードだ。こういうときは掃除担当の人を別に雇うか、机をきれいにする合理的な理由を説明するところから始めたほうがいいと糸木氏は語る。
インドといえば、昨年スズキの現地工場で起きた暴動をすぐに想起する人もいるだろう。結局、暴動の原因は特定できなかったが、憲法上は廃止されているカーストが今もインド社会に根強く残っていることを痛感した人も多いはずだ。下位カーストの人を昇進させても、上位カーストの部下が無視してビジネスがスムーズに運ばないといったことも実際に起きている。複雑なインド社会を日本と同じ目線で見ると思わぬ騒動に巻き込まれてしまいかねない。
何しろインドでは階層によってトイレまで異なる。以前インドに駐在していた日本貿易振興機構(ジェトロ)の河野敬氏も、最初はトイレが2つあることに驚いたという。河野氏はインドでビジネスをする際、「カースト+出身地+宗教+学歴」を見なければならないと指摘する。