宮地氏によると、運動や肉体労働、家事などを合わせた日本人の身体活動は、ここ20年で1日当たり10分減っており、「体重に換算すると年1・5キロ、10年では15キロ太りやすくなっている」と話す。10分の身体活動量は千歩の歩行に相当することから、同社の取り組みはこの活動量減少分をカバーしたことになる。
取り組みのきっかけはメタボの社員が多かったことだ。同社R&D戦略企画部の高原良氏は「1日の3分の1を職場で過ごすため、その環境を変えて健康増進ができないかと考えた」と語る。かつて自治体で市民の健康づくりに関わった経験を持つ高原氏は、「運動教室などを行っても、来るのは健康意識の高い人だけ」とし、「自然に活動量が増える仕掛けが必要と感じていた」という。
日本発の新産業
立ち仕事の推奨だけでなく、同社ではオフィス内の通路を板張りの回廊になるよう配置、フロアの対角線の場所へ近道できないようにして歩数を増やす工夫もされている。同社のこれらの取り組みは昨年、厚生労働省が主催する「健康寿命をのばそう! アワード」の大臣優秀賞を受賞した。