鬱病の引き金は東日本大震災の取材です。発生直後に岩手県陸前高田市を取材した際、水を飲んで紫色に膨らんだご遺体をたくさん目にしました。当時、現場は戦場で、1千年に1度といわれる現場を前に休める状況ではありませんでした。
しかし、その後、密着取材した陸前高田市の仮設住宅の方から、鬱病で休んでいるときに「がんばって」という色紙をいただきました。「被災地の方々も十分大変なのに気遣ってくれている」と、すごく励まされました。
就職してからは仕事が充実しており、高速道路をハイスピードで走っているような生き方でした。今は結婚して、「主婦、ときどき仕事」という生活です。一般道を景色を見ながら、ゆっくり自分のペースで走っている感じです。
鬱病は、自分の人生を振り返る良い機会になったと思っています。
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【プロフィル】丸岡いずみ
まるおか・いずみ 昭和46年、徳島県生まれ。関西学院大卒業後、北海道文化放送でアナウンサーとして活躍。フリーキャスターを経て、平成13年に日本テレビ入社。報道局で記者として、警視庁などを担当。「情報ライブミヤネ屋」「news every.」のキャスターも務めた。24年9月に日本テレビ退社。著書に『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』(主婦と生活社)。