小児がんの陽子線治療 高まる保険診療化望む声 (1/4ページ)

2014.1.12 17:27

陽子線治療を受けるため準備する女児(中央)。1ミリ単位で照射制御がなされ、治療後遺症の可能性が低くなる=茨城県つくば市の筑波大学付属病院陽子線医学利用研究センター

陽子線治療を受けるため準備する女児(中央)。1ミリ単位で照射制御がなされ、治療後遺症の可能性が低くなる=茨城県つくば市の筑波大学付属病院陽子線医学利用研究センター【拡大】

 がん放射線治療の一つで先進医療の「陽子線治療」は全額自己負担だが、有効性から受診希望も増えている。その中で、小児がんについて、医療関係者から放射線治療の後遺障害軽減のため、陽子線治療を保険診療にし、治療の選択肢に加えたいとの要望が上がっている。欧米や韓国などでは公費負担で小児がん治療に陽子線治療を実施している。(日野稚子)

 「怖くない」

 昭和58年以来、臨床研究として小児がん治療を続けるのが、筑波大学付属病院陽子線医学利用研究センター。放射線腫瘍学が専門の桜井英幸センター長は「世界最多の陽子線治療装置が稼働しているにもかかわらず、小児がん患者に治療環境が整わないのは保険診療になっていないから」と指摘する。同センターでは、大人のがん患者について平成20年、先進医療に変更したことで約250万円の自己負担が生じたが臨床研究よりも門戸は広がり、昨年度は360人が治療を受けた。

 現在、国内で小児がんへの陽子線治療を受け入れているのは、静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)と国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の2カ所。ともに臨床研究として行う状況だ。

「慣れたし、大丈夫。怖くない」

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