本人・家族支えた緊急入院と緩和ケア
「ホスピスは看取(みと)りの場所」と思われがちだが、「今後は『帰るホスピス』が増えていく」との声が上がっている。高齢化でがん患者が増える中、痛みの緩和などのホスピスケアを、必要な人が等しく受けるにはどうすればいいだろうか。(佐藤好美)
コスモスに囲まれた笑顔の遺影は、亡くなる半年前に撮った。「準備がいいのに悲観的」。元教諭、小林恵子さん(享年64)=仮名=を、家族はそう評する。
恵子さんは昨年9月に十二指腸がんを再発、年越しが危ぶまれた。抗がん剤治療もしたが、3日の投与で10日は苦しむ。1クールで「もう、いい」となった。
穏やかに逝ける場所をと思い、まず浮かんだのがホスピス。だが、訪ねると3カ月待ちという。「間に合わないね」と話していた折、緩和ケアが専門で在宅医療もする東京都杉並区の越川病院(越川貴史院長)を知った。