失敗すれば敗退となるスナッチの3回目。重量挙げ女子48キロ級の三宅宏実は、父親の義行監督(70)ら家族が見守る中、尻をつく寸前で持ち直し、立ち上がった。
前回ロンドン五輪(銀)にこそ届かなかったが、腰に不安を抱え、痛み止めを打つ満身創痍(そうい)での銅メダル。「あれは奇跡。みんなが手伝ってくれた気がする」。そう話す三宅に、練習をともにしてきた後輩も「信じていた」と喜んだ。
三宅のトレーニング量は人一倍。「他の人が5つのメニューをやれば、7つはやる」。同じいちごウエイトリフティング部の水落穂南(ほなみ)(23)はそう話す。ロンドン五輪に出場した水落ですら、三宅の練習量には驚かされるという。
そんな“練習の鬼”の身体から悲鳴が上がる。腰の痛みで「直前に本格的な練習はできていないはず」(水落)。三宅自身、リオ出発前には家族に「こんなに不安を抱える試合は初めて」と漏らしていた。
逆境をはねのけての銅に、三宅は「今回が一番うれしい」。水落も「ハラハラして見ていたが、やってくれると信じていた。結果を残すのは本当にすごい」と手放しでたたえた。(木下慧人)