さらに昨年にはミネラルウオーターの車内販売を開始。今年5月からは折り畳み傘やマスクも車内販売している。これらもすべて顧客目線を重視しているからこそ生まれたサービスだ。10月からは大型犬も一緒に同乗できる「ペットタクシー」を始めた。
ユニークなのが、昨夏から始めた「心霊スポット巡礼ツアー」。乗務員の間で語り継がれている心霊スポットを案内するもので、若い女性やカップルを中心に連日盛況だった。車内からスポンジの弾を飛ばして、的当てをする「タクシー流鏑馬(やぶさめ)」を開催したり、「3億円事件」の現場をめぐる「3億円事件ツアー」も企画するなど、話題作りに事欠かないのも“売り”だ。
人材獲得で成果
これらのサービスは「すべて人材獲得につながっている」(吉川社長)と強調する。タクシー業界では人材不足が深刻だが、同社はさまざまな取り組みによる知名度向上が奏功し、今春の新卒採用では前年度比倍増となる20人を獲得することに成功した。タクシー業界では乗務員の平均が60歳代とも言われるが、同社は平均48歳と一回り以上も若い。利用者によるベテラン乗務員の有料指名制度も導入する予定だ。