■連載/あるあるビジネス処方箋
「まともではない管理職」。
人事コンサルタントや労働組合ユニオンの役員らと取材で話し合う時、こんな言葉が出るときがある。部下をいじめたり、パワハラでうつ病などにさせたり、辞めさせたりする管理職である。問題行為を繰り返しておきながら、要領だけはよく、スイスイと出世することがある。今回は、まともではない管理職に限ってなぜ出世するのかを私の取材で得た情報をもとに考えてみたい。
■淘汰の仕組みがない
多くの企業には、仕事の能力や実績、素行、勤務態度などに大きな問題がある場合、その人が辞めていかざるを得ない仕組みがほとんどない。特に管理職になると、「降格」になるケースはきわめて少ない。管理職というポジションが既得権となり、いったんそのポジションになると、手放そうとしなくなる。
リストラがあったとしても、企業社会全体でみると、その数は決して多くはない。つまり、昇格してある程度の立場になり、権限を握ると、自分のことを棚上げし、やりたい放題が可能になる。そのことに、ほぼ全員の非管理職は何もいえない。企業内労組などは役員らに厳しく言うべきだが、なかなかいえない。