東芝は5日、車載機器を手掛けるアルパインと、電力会社向けに提供する産業用の小型無人機「ドローン」サービス事業で提携すると発表した。両社で鉄塔や送電線などを巡視・点検するシステムを共同開発し、2017年度中にサービスの実用化を目指す。
送電線や鉄塔の巡視・点検は目視検査が主流だが、山間部では移動に時間を要し、高所作業は危険が伴う。ドローンを活用すれば、高所の送電線や鉄塔上部も迅速に空撮でき、作業時間の短縮や安全性の向上につなげられる。
今回の提携では、衛星利用測位システム(GPS)などでドローンを効率的に飛行させるアルパインの技術と、あらゆるモノをインターネットでつなげるIoT基盤上で画像を収集・蓄積・分析する東芝の処理技術を融合させ、送電線の落雷傷などを迅速に検出するシステムを共同開発する。また、IoT基盤上で人工知能(AI)を駆使した高度な分析技術を導入し、電力設備の安全で高効率な点検作業を行えるようにする。東芝はアルパインと車載分野で提携していたが、今回はドローンにも広げた。
高所で空撮できる産業用ドローンの活用は国内で広がりつつある。コマツは飛行測量で、NTT東日本・西日本は通信ケーブルの点検で活用している。クボタは農薬散布、デンソーやパナソニックは高速道路や橋などのインフラを点検するドローンの開発を進めている。