「3Dの進展を見ていると、30年ごとに大きく盛り上がる」という舘氏。1920年代に最初の3Dが出て、1950年代にも3D映画が登場して話題になった。「1985年につくば市で開かれた科学万博で3Dが上映され、テーマパークにも3Dが入ってきた。2010年代には映画やテーマパークだけでなく、テレビやコンピューターに3Dが使われるようになった」とこれまでの流れを振り返る。
そして「3Dの10年後くらいにVRが生まれてくる」と舘氏。「3Dが見えると、人は全体を見渡したくなり、そのための3Dが生まれてくる。それがVRだ」。見たいという欲望をかなえる技術が生み出され、そのための器機が作り出される。実際、OculusRiftやHTC Vive、PSVRといったヘッドマウントディスプレイが登場し、それらに対応したコンテンツがどんどんと作られている。東京オリンピック/パラリンピックという映像表現を大きく変えそうなイベントを経た2020年代に、VRの技術もコンテンツも、ひとつの到達点を見るという訳だ。
コンピューターの中に作られた世界を動き回るようなVRが、ゲームなどの分野で期待されている。ライブ会場に全天周のカメラを設置して、遠隔地からライブに参加している気になれるVRも提案され始めている。アーティストのビョークは、ミュージックビデオをVRで制作し、かたわらにアーティストがいるように感じられる映像を世に出した。7月18日まで日本科学未来館で公開され、今までに無い体験でファンを驚かせた。