【衝撃事件の核心】
ヒロインの前に現れるのは、そろいもそろってイケメンばかり。すれ違いや衝突を経ながら、次から次へ恋の花が咲く。現実にはありそうもないシチュエーションを疑似体験できるこの手のゲームは「乙女ゲーム」と呼ばれ、渇いた女性らの癒やしツールとして絶大な支持を集める。ヒットの鍵を握るのは、言うまでもなくキャラクターのイケメン度合い。このため、ゲームイラストの出来が売り上げを大きく左右する。そんな乙女ゲーム界で有名なマンガ家はある日、ネット上で驚愕(きょうがく)の事実を知る。自分がファンタジー用に描いたイケメンたちが、18禁の“エロゲー”であられもない姿に改変されていたというのだ。怒り心頭のマンガ家は、ゲーム提供会社に損害賠償を求めて提訴した。人気ジャンルの舞台裏で何があったのか。
人魚姫とイケメン王子
訴訟記録によると、訴えたのはゲーム作品の原画も手がける女性マンガ家Aさん。平成21年ごろから活動しており、ペンネームをネット上で検索すると複数作品がヒットする、その世界ではよく知られた存在だ。
Aさんは25年6月、ゲームの企画・開発を行う東京の制作会社から、携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル」(PSP)用の新作乙女ゲームに使うイラストの依頼を受けた。