【衝撃事件の核心】
住友グループの中核であり、住友商事、日本電気(NEC)とともに住友新御三家の一角を占める住友電気工業(大阪市)。そんな国内屈指の大企業を、子会社の派遣社員が手玉に取り、架空発注で約1億5千万円をだまし取るという仰天の事件が発覚した。大阪地検特捜部に2~3月、詐欺容疑で逮捕、起訴された男(59)は偽りの経歴と巧みな話術を駆使し、不正を繰り返していたという。京都大卒、工学博士、大手メーカー現役社員-。経歴詐称で話題になった、あのショーンKさんもたじたじ!?の手口を追った。
被害総額は約4億7千万円?
男が派遣されていたのは子会社の「住電半導体材料」(神戸市)。平成18年から、この会社の設備部に勤めていた。
架空発注のスキームは(1)子会社工場の設備工事などをでっち上げる→(2)複数の業者と請負契約を結ぶ→(3)請負業者から、自らが代表のペーパー会社に下請けに出させる-というもの。もちろん工事は行わず、親会社の住友電工から引き出した代金を、ごっそり懐に収めていた。