ネット上には感想が次々書き込まれた。原画作者としてクレジットされたAさんの実力が、ヒットの大きな要因となったのは間違いない。
だが「人魚の冒険」はここで終わらなかった。
翌年の夏、Aさんは制作会社から「ゲームのソーシャル化につきまして」と題する1通のメールを受け取った。今回のゲームをPSPからスマートフォン向けオンラインゲームとして改めて配信する、という。
当初の契約でも、ゲームがPSP以外の媒体に移植される可能性があることは明記されていた。このためAさんは特に異議を唱えることもなく、申し出を受け入れた。
それから、しばらくたって、Aさんは妙なうわさを耳にした。
「人魚姫のゲームのアダルト版が存在する」
探してみると、大手ゲーム配信サイト内の「R18オンラインゲーム」カテゴリーに、それはあった。試しにプレーしてみると、そこでは自分が生み出したあのイケメンたちが、一糸まとわぬ姿に変わっていた。
「アイコラ」の手口
基本的なストーリーと登場人物はPSP版のままだが、ヒロインが相手と恋愛関係になると、最初のゲームには一切なかった露骨な性交シーンに移行するようになっていた。
大胸筋や6パックの腹筋もあらわに、裸のヒロインを押し倒す獣のようなイケメンたち。Aさんが描いてもいないイラストが、なぜか差し込まれていた。