生鮮食品新たな柱に
今年4月に関空の運営を引き継いだ関西エアポートは旅客便だけでなく、貨物便誘致も成長戦略の重要な柱としている。関西エアポートは運営期間の最終年度に当たる平成71(2059)年度には関空と大阪(伊丹)空港を合わせた貨物取扱量を194・1万トンにする目標を掲げる。これは27年度の2・3倍の規模となる。
貨物便誘致における関空の強みは、2本の滑走路を持つ海上空港のため完全24時間運用が可能なことだ。旅客便が少ない深夜早朝に離着陸することの多い貨物便にとって24時間運用は大きなメリットとなる。
貨物便向けの施設整備も進める。昨年8月には国内空港初となる食材輸出に特化した冷蔵設備を持つ定温倉庫「キックス・クーレックス」を設置した。倉庫は5室あり、部屋ごとに厳格に温度管理できる。中国や東南アジアの富裕層を中心に人気が集まっている日本食材を関空の貨物便の新たな柱にする計画だ。
農林水産省は食品輸出について32年までに現在の約6割増となる1兆円規模まで拡大することを目指しており、関空の航空貨物は鮮度が命の果実や野菜、魚介類などの輸送を担う。関空の27年の食品の輸出額は過去最高の約120億円を記録している。
関西エアポートの小関貴裕航空営業部長は「フェデックスのようにハブ運用してくれる会社を誘致するのが理想だが、なかなかすぐには難しい。施設整備で利便性を高めて新しい貨物を創造していきたい」と話している。