関空の位置する大阪湾岸は、かつてはシャープの液晶工場(堺市)やパナソニックのプラズマパネル工場(兵庫県尼崎市)、液晶工場(同姫路市)などが集積し、「パネルベイ」と呼ばれた時期もあった。
しかし、シャープやパナソニックが中国や韓国メーカーとの競争に敗れ、現在は尼崎のプラズマ工場が操業を停止し、堺と姫路の液晶工場は大幅に規模を縮小させている。関西経済の地盤沈下とともに関空の貨物便も衰退の道をたどることになった。
関西エアポート貨物営業グループの新宮早人リーダーは「貨物便はどうしても景気や産業構造の変化の影響を受けることになってしまう」と話す。
そうした中、関空の貨物便衰退に“待った”をかけたのが、航空貨物世界最大手の米フェデラルエクスプレス(フェデックス)だった。26年から北太平洋地区のハブ(拠点)として関空を運用し始めたのである。
フェデックスは関空の2期島に総面積約4万平方メートルの専用の物流施設を整備。最大7機が駐機可能で、毎時9千個の貨物を機械化したシステムで仕分けることができる。現在、フェデックスは週70便程度を就航させており、関空の貨物便の約半数を占めている。