国内では東芝と日立、三菱重工業の3社が原発技術を保有している。原発は高度な技術が必要とされ、簡単にほかの会社が行うことはできず、代わりがきかない。仮に東芝が経営破綻すれば、原発の技術者が海外に流出する恐れもあり、国防上の問題にもなりかねない。
そして、東芝の厳しい経営状況をみてなのか、経済産業省が国内の原発メーカー3社の再編を模索しているとの観測も出ており、東芝の原発事業の重要性は以前にも増して高まっている。
原発事業のエースとして東芝を牽引してきた志賀氏は不正会計の発覚前から将来の社長候補と目されてきた。指名委員会は国内外の官公庁や電力会社に人脈が豊富な志賀氏を会長職に据えた方がよいと判断した。
しかし、志賀氏の会長昇格には代償もある。新社長には医療部門出身でクリーンな綱川智副社長を昇格させたが、グレーな志賀氏を会長に引き上げたことで、“新生東芝”のイメージが薄れてしまったのは否めない。