経営再建中の東芝が次期会長に志賀重範副社長を昇格させることに、疑問の声がわき上がっている。志賀氏は不正会計を招いた原因とされる米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の会長を務めた人物。それゆえ、役員責任調査委員会から関与者として認定されており、グレーな人物とみられているためだ。6月22日に開催される株主総会で社長と会長を刷新し、“新生東芝”をアピールしたいところだが、株主から人事に異論が噴き出る可能性がある。
「若干グレーと思われ方もあるが、グローバルな実績、国策的な事業を行ううえで余人をもって代え難く、そちらを重く見た」
5月6日に開かれた新社長就任会見で、志賀氏の会長昇格の理由について、小林喜光指名委員長(三菱ケミカルホールディングス会長)はこう語った。加えて「官庁や電力会社と折衝する際、副社長よりも会長職の方がよく、就任をお願いした」と説明した。
実はメディア関係者の間では、脛に傷を持つ志賀氏の昇格はないとみられていた。不正会計の原因を作ったとされるWHに深く関与していたためだ。昨年11月に発表した役員調査委員会の報告書で、善管注意義務違反は認定されなかったが、関与者として名前がしっかり挙がっていた。