「マンションは管理を買え」と言われるようになって久しいが、購入する際の優先項目は依然として立地や設備に偏り、管理問題に対する関心度はまだまだ低い。マンション管理大手、長谷工コミュニティの社長に就任した三田部芳信氏は「日本で最も質の高いサービスを提供することによって、管理業全体の地位向上につなげるようにしたい」と強調する。
--管理が改めてクローズアップされている理由は
「マンションはついのすみかとなり、高度な管理体制を通じて資産価値を守ることが重要になっているからだ」
--ただ、居住者の理解度はまだまだ希薄なようだ
「当社は25万戸を超える物件を管理しており、『こういった規模の建物にはこのような対応が必要』といったバックデータが充実している。地道な作業となるが、それを踏まえて管理の重要性をきちんと伝えられるようにしたい」
--取り組むべき課題は
「管理組合理事会の指導や総会の取りまとめ役を担う『フロント』係を独りぼっちにさせないことだ。具体的には技術部隊や長期修繕計画の策定メンバーなども加わって、問い合わせに対しiPad(アイパッド)を持たせて即座に対応できるようにする。入居者を関係者全員で支える体制を構築していけば、サービス向上につながり、フロントのストレスも軽減できる」
--管理事業の将来性は
「当社は毎年、1万戸ずつ管理する対象が増えている。新築市場が落ち込んでいるため増加ペースは鈍るだろうが、毎年5000~1万戸ずつは上乗せしていきたい。また、これまでは共用部中心の受注だったが、長谷工リフォームとタッグを組んで専有部の需要を積極的に取り込んでいく」