キリン、王者復活へ変革の第一歩 47都道府県ビール、業界内では冷ややかな声も (1/3ページ)

2016.5.16 06:35

キリンビール「47都道府県の一番搾り」シリーズの「東京づくり」をアピールする布施孝之社長(前列右)=4月20日、横浜市鶴見区

キリンビール「47都道府県の一番搾り」シリーズの「東京づくり」をアピールする布施孝之社長(前列右)=4月20日、横浜市鶴見区【拡大】

 ビール業界のかつての王者、キリンビールが不振にあえいでいる。2016年1~3月期のビール類(ビール・発泡酒・第3のビール)の販売状況はアサヒビール、サントリービール、サッポロビールの競合が前期比プラスとなったのに対し、キリンは前年同期比11%減と4社中唯一のマイナスと独り負けとなった。国内ビール類市場で長年シェア50%超と勝ち組の名をほしいままにしてきたのは、もはや前世紀の出来事。キリンに復活はあるのか。

 考えられぬ商品

 「全社員の意識改革、企業風土の変革につなげたい」

 浮上の足がかりをなかなかつかめないキリンビールの布施孝之社長がこんな熱い思いを込めて10日、新商品を投入した。全国47都道府県ごとに味わいが異なる地域限定ビール「47都道府県の一番搾り」だ。ビール市場は消費者の嗜好性の高まりにより、味の違いや個性を楽しめる商品のニーズが高まっている。47の異なる一番搾りを用意し、こうした需要に対してきめ細やかに対応しようというもの。かつてのガリバー、キリンでは「考えられない商品」(業界関係者)だった。

 キリンは生産現場の声が強いことで知られる。ある幹部は「営業現場からの提案でも採算がとれない、と新商品の生産を突っぱねられたこともある」。ビール販売を支えているのは製造現場だという昔からの職人気質が尊ばれる社風だ。加えて、その圧倒的なシェアを後ろ盾に「おっとりした営業」は有名で“公家体質”と揶揄(やゆ)されてきた。

キリンのこうした試みに対して、業界内では冷ややかな声も

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