不動産大手5社の平成28年3月期連結決算が12日、出そろった。都心部の高額物件を中心とする堅調なマンション需要のほか、オフィス空室率の改善に伴う賃料上昇などを背景に、売上高で4社、最終利益も3社が過去最高となった。
マンション販売は、供給数が減少傾向の一方で、都心部を中心とした富裕層向けの販売が好調で利益率が上昇した。加えて企業の業績改善に伴い、オフィス移転や増床の動きが活発化。好立地物件の賃料が上昇したことなども、業績全体を押し上げた。
三井不動産と野村不動産ホールディングス(HD)は2期連続の最高益で、三井不動産は商業施設のテナント収益が好調だった。三菱地所と3期連続最高益の住友不動産はオフィスビル事業が牽引(けんいん)。東急不動産HDは大型案件のあった仲介事業が寄与した。住友不動産は12日の会見で「追い風に吹かれた1年」と総括した。
29年3月期の業績予想は三井不動産と住友不動産の2社が最高益を見込むほか、他の3社も前期竣工(しゅんこう)した「大手門タワー・JXビル」(三菱地所)や「東急プラザ銀座」(東急不動産HD)の年間稼働をプラス要素に加味し、引き続き堅調に推移するとした。