全日本空輸が、今春闘で労働組合側に一時金(ボーナス)の引き上げを提案したことが29日分かった。業績の影響を受けないベース部分を年間0.5カ月増やす。持ち株会社ANAホールディングス(HD)の連結業績は当初予想を上回り好調で今後の人材確保に備える上でも継続的な待遇改善が必要と判断した。
地上勤務者や客室乗務員約1万人が加入する最大組合「ANA労働組合」は同日、会社提案を受け入れた上で一律3000円のベースアップ(ベア)などを要求した。昨年、全日空は7年ぶりにベアを行っており、今後の労使交渉は2年連続のベア実施の実現が焦点となる。
全日空の一時金は業績連動型で、2015年度は5.0カ月だった。16年度は、このうち通期利益に左右されない年度内支給分を0.5カ月増の4.0カ月とする。さらに業績連動で翌年度支給する分も0.5カ月増の2.0カ月に引き上げる。
ANAHDと日本航空は、訪日外国人の国際線利用増や原油安に伴う燃料費の減少を追い風に、15年4~12月期の連結経常利益が過去最高を更新した。全日空の一時金引き上げは、日航の労使交渉にも影響を与える可能性がある。