「軍事情勢」野口裕之記者特別レポート
「先端技術を集めた兵器は美しい。秘密のベールに包まれた技術も神秘性をただよわせる」
とは、官民の防衛関係者が兵器をお披露目するにあたり、一様に抱く感慨だ。愛知県内に在る三菱重工の工場で28日、同じ感慨を共有した。
同日午後に公開されるのは、米軍のF-35といった「第5世代」戦闘機の上をうかがう、将来の「第6世代」戦闘機開発に備えた研究実験機《先進技術実証機》。富士山の別称「心神」という愛称の方がすっかり有名になった。三菱関係者が命名したとの言い伝えもあるが定かではない。
ともあれ、零戦と縁が深いこの工場で生まれた心神が、武器輸出3原則緩和や防衛装備庁設立と相まって、戦後、大日本帝國陸海軍の傑作機復活を恐れる連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)がズタズタにした日本の航空機産業を蘇生させる先駆けと成る…そんな確かな手応えを感じた。