【野口裕之の軍事情勢】
不吉な初夢にうなされた。海原の船影を宝船だと慶んだのもつかの間、蒙古襲来で博多湾を埋め尽くした軍船の数に驚く鎌倉武士の心境は、かくやと思った。夢の中で小欄は、東シナ海で「中国漁船」を警戒・監視中の海上自衛隊護衛艦の艦長を務めていた。
100隻以上の「漁船」は地元漁船の10倍強もある100~500トン級で、紅色の国旗を掲げ海軍艦隊のごとく陣形を組み整然と航行。沖縄県の尖閣諸島に向かっている。頭の中で法律を整理し、何ができるか考えている間に…。中国の台湾侵攻の序曲だと知るのは、夢から覚める直前だった。
訓練された「海上民兵」
はるか前方を走る海上保安庁の巡視船が領海侵犯した「漁船」に退去を命じたが、逆に“退去命令”される。放水や進路妨害をしても恐れず徘徊した。と、準軍隊化を進める中国海警局の艦船が「自国民保護」名目で「漁船」との間に割り込む。海保は放水・進路妨害を止めた。