ただし、投入人員の種類は、場所と時間を固定せずに変幻自在に行ったり来たり=モザイク状の状況を創出する。海上民兵は本当に漁をする。漁師である以上、自衛隊は手出しできない? 半面、指揮官や旗が存在し、階級章や民兵章が付く軍服を有す、国際法が認める戦闘集団だ。戦況を有利に導くべく、状況に合わせ軍服の着脱を繰り返すだろう。
かくして、自衛隊の戦力が発揮できる防衛出動を下令させぬよう、日米安全保障条約を適用し米軍が来援せぬよう、硬直して実効性に乏しい法律のスキを衝きまくる。結果、政治レベルでも作戦レベルでも決心が致命的に遅れる。
「法律戦」で日本を縛る
厄介なのは海上民兵だけではない。2015年制定の規範《国防所要を満たす民間船建造技術の仕様》を注視したい。軍の民間船徴用は当然として、新造商船の海軍仕様準拠方針を明記した。乗員の指揮系統などに象徴される軍艦資格を有するか否といった国際法上の識別義務を、中国が鮮明にせぬ恐れがある。