ネスレ日本の飲料事業本部コーヒーシステムビジネス部の大谷謙介部長は「抹茶を求める声はあるものの、簡単には点てられないというのが大きなネックになっていることは市場調査などで分かっていた。そこでコーヒーマシンを使って、本格的な抹茶が作れないか。なかなか飲めないものだからこそ、飲めるようにならないか。そんな発想だった。これができれば、コーヒーマシンの利用の幅を拡大するインパクトのある製品になるし、日本の消費者のニーズにこたえて伝統的な文化を広めることにもつながると考えて、1年半前から開発にとりかかった」と話す。
しかし、スイス本社の開発部門からすぐにゴーサインが出たわけではない。なによりも「抹茶」が理解してもらえなかった。そこを「日本独自の価値と、その製品化が大きな意義をもつ」と説得、日本限定の商品開発の承認をとりつけた。
「ネスカフェ ドルチェ グスト」は専用カプセルの特許技術を持つ。「宇治抹茶」は宇治の茶葉を100%使用しているが、1杯分ごとにカプセルで密封することで、劣化しやすい繊細な茶葉の品質と鮮度を保持することができる。また、最大15気圧の高圧ポンプで抽出することで、茶せんで点てたようなきめ細かな泡を、だれでも手軽に作ることができる。