東電は4月に、大手電力初の持ち株会社制に移行する。垂直統合型組織で一手に担ってきた発電、送配電、小売りの各事業を分社して経営の機動性と効率性を高める狙いだが、これにより他社との事業統合など再編を仕掛けやすくなる。
電力小売りの全面自由化で新規に参入する東京ガスなどの新電力を迎え撃つ中で、中部電との連携が順調に進み、両社の関係が深まっていけば、一段の統合再編が戦略の俎上(そじょう)に載る可能性は高まっていく。
動き出す歯車
もっとも、両社の提携拡大に向けたハードルは高い。
東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が見通せないため経営が不安定で、実質国有化されている。中部電が東電に深入りすれば、国の関与が中部電に及ぶ懸念がある。しかも東電は福島第1原発事故の賠償問題も抱える。