しかもホーカン・サミュエルソンCEOに、S90で到達すべき目標が何かを問うと、「私の仕事は、財政面で開発陣をサポートすることで、これここに行きなさい、と彼らに指示を与えることではないのです」という答えが返ってきました。
プレミアム・サルーンをトップダウンではなく、現場との合議によって造りたいモノを造らせている、そんな静かな誇りさえ感じさせる、アンダーステイトメントな回答といえるでしょう。
実際、スカンジナビアン・デザインは、極地の厳しい自然を含む国土で育まれただけあって、人命の尊重や、少数ながら民主主義的な合議によってコトを運ぶ姿勢が、DNAの中に織り込まれています。
そしてボルボはかなり意識的に、スカンジナビアン・デザインのエッセンス、デザイン・ランゲージを磨いてきました。キーワードとして並べてみれば、妥協のない安全性、人間を中心に据えた柔らかな機能性、陰影を重視しつつ時には刺激的な創造性、そして内面の充足ゆえに滲み出るナチュラルな自信、といった辺りですね。