エネルギーの柱へ
さらに滋賀県は、処理施設の未整備の地域から下水を県の施設に持ってくるための大型の「流域下水管」に着目した。この下水管は直径最大4メートルで、下水の流量も多いため、通常の下水管より効率的に熱の回収ができると想定し、システム開発に乗り出した。
共同で研究する企業を募集したところ、関西電力や積水化学工業などが応じ今年9月に研究に着手した。大量の熱の回収が見込めるだけに、オフィスビルや公共施設などの空調・給湯など業務用利用ではなく、大規模な工場での活用を目指す。工場の蒸気ボイラーに使う湯を、あらかじめ下水熱利用のヒートポンプで温めておき、燃料消費を抑える試みだ。
同県下水道課は「まだまだ認知度が低い下水熱だが、共同研究を通じて省エネ効果などを示していくことで利用を進めたい。将来は県のエネルギー政策の柱の1つにしたい」と期待している。