全国の下水を使った場合には、1500万世帯分の冷暖房のエネルギーになるとされる。これまでは捨てていたエネルギーを有効活用することから、省エネと温暖化ガス削減の一石二鳥の効果が期待される。
国土交通省も下水熱利用の普及を後押しする。平成24年に下水熱利用推進協議会を設け、官民の情報交換を活発化させるとともに、今年は導入に向けたマニュアルを整備した。同省下水道企画課は「下水熱は下水道が整備された都市にもとからあるエネルギー。さまざまな施設で活用できる」と説明する。
下水管から熱を回収
これまでの導入例では、下水処理施設から処理水をヒートポンプに送って使用することが多い。しかし、これでは下水処理施設の付近でしか下水熱の利用ができないという制限がある。これを克服し、全国1500万世帯分の冷暖房エネルギーを有効活用するため、下水処理施設以外でも広く整備された下水管から熱を取り出し、ヒートポンプに送り込む技術開発も進む。