今夏は猛暑に見舞われたものの、安定した電力需給が全国で続いている。東日本大震災後に家庭や企業で節電意識が浸透する一方、電力各社が火力発電をフル稼働させ、太陽光発電など再生エネルギーの普及も進んできたからだ。ただ、火力は故障による緊急停止のリスクを抱え、天候に左右される太陽光も発電は不安定。真に需給が安定している状況とはいえず、一基でも多くの原発再稼働を求める声が産業界などで強い。
原発を持つ電力9社は7月以降、供給力に占めるピーク時の電力需要の割合を示す最大使用率が、おおむね「安定的」とされる80%台で推移。「厳しい」とされる95%を実績ベースで超えた日はない。
理由の一つは、節電意識の定着だ。発光ダイオード(LED)照明の活用などが進み、電力中央研究所によると、東京電力と関西電力管内の電力使用量は昨年7~9月の時点でも、震災前の10年7~9月と比べて1割ほど減った。