平成24年度には、国土交通省が下水道革新的技術実証事業として共同研究を実施。大阪市と積水化学工業、東亜グラウト工業(東京)が参加し、大阪市内の下水処理場内の下水管に熱交換機を設置、取り出した熱をヒートポンプで熱エネルギーにして市下水道科学館(同市此花区)の空調への活用を検証した。
事業には、積水化学工業などが開発した「らせん方式」の熱交換機の性能が試された。太いコイルのような形状をした樹脂を下水管の内壁にらせん状に貼り付け、老朽化した下水管をリニューアルする工法を応用した。樹脂に熱交換機の管を埋め込んだ状態にしており、下水管のリニューアルと同時に熱の回収を可能にしたのだ。
このらせん方式の熱交換機は25年度、仙台市の実証事業でも採用された。食品スーパーの給湯にも活用され、1日平均4600リットルのお湯を供給し、従来比で年3割のコスト削減を実現した。
さらに今年7月には改正下水道法が施行し、自治体など下水道運営者に下水管の使用を認めてもらうだけで、民間業者が熱交換機の設置が可能になった。下水管からの下水熱を利用しやすい環境は整いつつある。